何年かドルオタをやっていると、違うツアーで同じ曲が披露される、という場面に多々遭遇するのですが、演出やメンバーの状況はその時々によって違います。
プリズムショーも、同じプログラムを披露していてもその時々によって演出が変わってくる、という描かれ方をしています。だから、良い意味で、同じプログラムなんだけど同じショーではない。
わかにゃが同じプログラムで、大会では三連続に挑戦しようとしたけどだめで、お祭りでそれを成功させて、さらにあんの代わりに出たショーではひとつめのエスニックスプラッシュを思い入れのあるハートスプラッシュに変えたり…。
おとはもそう。最初の大会では二連続だったけど、二度目のオーデションの時、べる様を思う気持ちで三連続を成功させたり。
そうやって、変化を見たくて現場に通っているという側面も少なからずある。同じツアーの同じ曲でも、初日と最後では演出を変えてくることだってある。ライブ性、ってやつですね。現場に行って、その場の空気を共有して、変化を目の当たりにする。
こういうこと書いてるとまたこの人べる様のショーで号泣して死ぬんじゃないかって言われそうだけどべる様の件についてはもう予期していても避けようのない死ってものが!!!!あるんですよ!十中八九無理です!!!!
曲が物語性を帯びるということ
曲やプログラムの変遷やらを辿っていくと、その時々の思い入れや状況なんかも相まって、いっそ奇妙と言っていいほど現実とシンクロして物語性を帯びてくることがある。
長い間何かを追っているとそういう場面に遭遇することがあるんですね。私が知っている曲で挙げられそうなのは、
Berryz工房『あなたなしでは生きていけない』『21時までのシンデレラ』『VERY BEAUTY』
モーニング娘。『好きな先輩』『月夜の晩だよ~Moonlight Night』
AKB48『てもでもの涙』
とかが個人的には好きな曲なんですが、今回はベリの21時までのシンデレラについて書いてみたいと思います。
鬱陶しいかもしれませんが暑苦しく語らせてください。今日の3月3日は、Berryz工房の記念日。特別な日なんです。だからどうしても、ベリのことを書いておきたい。
21時までのシンデレラ
去年のこの日。
日本武道館で、Berryz工房ラストライブが行われました。3月3日はBerryz工房のデビュー記念日です。今から12年前(計算あってる?)のこの日、Berryz工房は『あなたなしでは生きてゆけない』という曲でデビューしました。
それから11年の時が過ぎ、それぞれの道に向かってゆくための、ある意味では始まり、旅立ちでもあった武道館ライブ。だからこそ、この瞬間が宝物なんだと。
この『21時までのシンデレラ』という曲は、発表された当時、メンバーは皆18歳以下でした。
現実的な話ですが、18歳以下の子どもは21時までしか働いてはいけません。つまり、彼女たちがシンデレラ(=アイドル)でいられるのは21時まで。それを過ぎたら、魔法が解けて普通の女の子に戻ってしまうんですね。
このままずっと一緒にいたい
それでも時間は刻み続ける
魔法が解けるぅ!!
と歌詞にあるように。
ラストライブも、始まってしまったら時は巻き戻せない。この曲はライブの定番曲というわけではなく、披露頻度もそう高くはないため聴きたくてもなかなか聴けない曲のひとつです。ベリは活動期間が長いので曲数もかなり多く、ライブで歴代の曲を全部やるのは無理なんですね。Berryz工房ラストライブの武道館では比較的序盤に披露されました。
イントロが流れ始めたとき、その時点ですでに、涙腺がやばかった。今夜この場で、この曲をやるのか、と。ずっと涙をこらえながら、舞台の上の7人を見つめていた。
そして間奏で、女の子が魔法の力で美しいシンデレラに変身する。
……その瞬間、涙で前が見えなくなりました。途中で追いかけ始めた私でさえそうだったので、デビューしたときからずっと彼女たちを追いかけ続けていた人はそれこそ泣き崩れたんじゃないでしょうか。ライブのDVDには、感極まったような女の人の悲鳴が入っています。それこそ、7話のあんちゃんの大きくなったなあ、じゃないけど、いろんな気持ちがごちゃ混ぜになって、言葉にできないほど心を動かされていたに違いない。
ステージに立つ7人のなんと美しいことだろう。眩しくて、綺麗で、それこそ、大きくなった。11年で、小中学生だったBerryz工房は、特別な青春を過ごし、皆素敵なレディに成長した。
無期限活動休止を宣言して、メンバーはそれぞれの道を歩んで行く。
曲中、武道館のスクリーンには、メンバーカラーの7人のお姫様のシルエットが映し出されていました。
曲が終わる時、スクリーンには桃色のお姫様だけが残った。
桃色。それは、ももちの愛称で知られる嗣永桃子のメンバーカラー。メンバーの中で、彼女だけが唯一、カントリーガールズプレイングマネージャーという形でアイドルを続けることを決めていた。
ライブは、1曲目からスッペシャルジェネレ~ション。普段なら、終盤の、ラストスパート!まだまだ行くよっ!準備はいい!?て感じで煽りが入るような場面で歌われるような曲です。それを冒頭に持ってくるあたり、悲しいライブにするつもりはない、全力で楽しいライブにする!というベリの気合いと意気込みを感じた。
実際、ライブが始まるとものすごく楽しい。赤のキンブレを必死に振った。めちゃくちゃ楽しい。だからこそライブが終わらないでほしい。楽しい時がこのままずっと続けばいいのに。そう願わずにはいられなかった。
けれど無情にも時間は過ぎて、最後のLove toghetherを歌い切り、ライブは21時に幕を閉じた。始まりが押してちょっと21時を回ってしまったところが彼女たちらしいけれど。Berryz工房の7人はまさしく、21時までのシンデレラだった。シンデレラのまま、幕を下ろした。
そして明日からは、一人の人間として、それぞれの道を歩んでいく。
楽しい時がこのまま続けばいいのに、このライブが終わらなければいいのに。そんな気持ちを嫌というほど知っているからこそ、Flavorのシーンで涙が止まらなくなるんですね……
オバレの三人が星座になった後、客席のサイリウムの光が消えて、応援上映だと泣きのガヤを入れるシーンがありますが、あそこ、まじで号泣してて泣き真似してる余裕なんてなくってですね。次にシンちゃんがくるのわかってるし、シンちゃんのプリズムショーはちゃんと見たいので涙引っ込めるのに必死なんです。はあ…つらいな……
℃-ute SHOCK!
それからもう一つ、Berryz工房と同期グループである℃-uteの『SHOCK!』という曲を挙げようと思います。
この曲がリリースされた当時はまだハロプロを追っていなかったのですが、そりゃあもうめっっちゃくちゃ荒れたと聞いています。まさしくトラウマ曲、と言ってもいいほど。(私は娘。9期が入ったあたりからハロプロを追いかけたので5年くらいです。まるっきりの新参ではないですが、古参でもない年数ですね)
今の℃-uteは5人グループですが、もともとは7人組でした。
一人抜け、二人抜け。
脱退の理由が前向きでも後ろ向きでも、どんな理由であれメンバーが抜けるということは、少なからず傷痕を残すことです。これ以上誰かが一人でも抜けたら℃-uteはそのまま解散してしまうだろう。それほどボロボロの極限状態のなか、5人になって初めてリリースされた曲が、上記の『SHOCK!』でした。
メインボーカルはエースの鈴木愛理ひとりだけ。そのほかのメンバーにソロの歌割りはほとんどなく、バックダンサー扱い。これが愛理のソロ曲ならわかるけれど、SHOCK!はシングル曲。
メンバーが抜け、ボロボロの精神状態で、さらにこのシングルのリリース。このシングルより以前も、歌割りはエースの愛理とリーダーの舞美ちゃんに偏ってはいましたが、それにしたってこの歌割りはひどすぎる。歌割りが無い。それってつまり、ステージに居場所が無い、ってことでもあります。
……歌割りは多い方が良いけれど、多ければ良いってものでもない。
愛理はなぜ自分だけが、と悩み、他のメンバーは自分はグループに必要ないのか?と悩み。(舞美ちゃんはリーダーなので少しは立場は違っていましたが)
両者に悩みがあったけれど、その間には埋まることのない溝が横たわっていた。トラウマごと封印するように、SHOCK!がその後のツアーでセットリストに入ることはほとんどありませんでした。
それから、ボロボロになりながらもなんとか解散の危機を乗り越え、アイドルとしてがむしゃらに走り、メンバーそれぞれ努力し、自信をつけ、℃-uteは念願の単独武道館ライブを達成し。
道を駆け上がっていくさなかでリリースされたのが
悲しきヘヴン
という曲。
この曲はもともとはカップリングだったのですが、人気が高かったため改めてシングルカットされた、という経緯があります。上のピンクの衣装を着ている動画がカップリングの時に収録されたもの。これ、ガチの生歌です。この複雑なハモりも全部ガチ。ハロプロのアイドルはこれを激しく踊りながら歌えるんです。正直、CDよりライブの方が上手いことだって多々あるくらいで。下のはその後シングルカットされた際のPV。
この曲も、メインボーカル以外のメンバーにほとんど歌割りが無い点ではSHOCK!と同じような構成です。
だけれど、あまりに違う。
ダンサーの三人が、歌は二人に任せた!と言わんばかりに髪を振り乱し、全力で激しく踊っている。それがものすごく、格好良くて清々しい。℃-uteの走って来た道を象徴するような曲でした。皆自信を付け、それぞれに与えられた役割を全力で果たしている。
歌詞も、2曲を比べてみるとSHOCK!の方はまだ全然割り切れていないのを割り切ろうとしているし、悲しきヘブンは過去を振り返りつつ、未来に進む歌という対比になっていると思います。
そして昨年の秋ツアーでは、久しぶりにSHOCKが披露されました。MCで何か特別な注釈をつけるでもなく、あくまでセットリストの中の一曲として。
歌割りがなくとも、いや、歌割りが無いからこそ、全力で踊り、観客の視線をすべて奪ってやる、という気概と迫力を感じるパフォーマンスでした。
愛理も4人に応えるかのように全力で歌う。
それを見て、ごく個人的な感想ではありますが、℃-uteは何か一つ乗り越えたのかな、と思いました。
今の℃-uteは、ハロオタのひいき目抜きにしても、このアイドル戦国時代と言われているなかで間違いなくトップアイドルグループの一つだと思う。
Berryz工房はそれぞれの道を歩き始め、℃-uteはアイドルとして走ることを選んだ。
去年の3月3日から違う道を進み始めた2組ですが、どちらも大好きなグループです。
どうか、身体に気を付けて。幸せでありますように。これからも応援しています。
そうやって、普段何年もかけて追ったり噛み砕いていることを、プリリズは20分間隔で突きつけてくるわけです。そりゃあ刺さらないわけがないし、ぶっ続けで見て情緒不安定にもなるってもんですね……